JIS規格の読み方 合金編
規格詳細は規格一覧 をご覧ください。
全般
- アルファベットは原則として1字ずつ読みます。
例外はステンレスで SUS は(エスユーエス)ではなく(サス)と読みます。 - 数字も同様にばらばらに1字ずつ読みます。
数字の例外読みはありません。0 は(ゼロ)ではなく(マル)と読みます。 - 例:C1100(シー イチイチマルマル)、SUS304(サス サンマルヨン)など
アルミニウム
- A1×××は純アルミニウム系です。
耐蝕性、アルマイト性(注1)に優れますが強度が弱く構造材には適しません。
家庭用器物、ネームプレート、タンクなど。(注1)アルマイト性とは
アルミニウム独特の表面処理技術。電気めっきが被処理材を陰極にして表面に金属を析出させるのに対し、アルマイト処理は希硫酸などの液中でアルミニウムを陽極にして強制的に酸化膜を成長させます。 - A2×××は高強度材でジュラルミン、超ジュラルミンの名前で知られるA2017、A2024が代表的。
航空機に多用されますが銅分を含み、耐蝕性、溶接性に難があります。 - A3×××は Mn を添加して純アルミの加工性、耐蝕性を維持したまま強度を改善したもの。
アルミ缶のボディーに使用されるA3004が代表的。 - A4×××はやや特殊な合金で、ピストン、溶接線やろう材(注2)などに使われています。
(注2)ろう材とは
金属の接合技術の1つにろう付けという技術があります。
接合材料よりも低い温度で融けるろう材を溶かして接合するもので、スポット的に接合する方法のほかに自動車のラジエーターなど、あらかじめろう材を貼りあわせた材料(ブレージング材)を組み立ててから全体を加熱して一気に接合する方法があります。 - A5×××は Mg を添加して、強度、耐蝕性などをバランスさせた汎用性の高い合金。
A5005、A5052、A5083などが代表的。 - A6×××は Mg,Si を添加したものでA6063押出し材がサッシなどの建材に大量に使用されています。
押出し性、加工性がよくアルマイト(注1)の仕上りも美しい。
より強度の優れたものにA6061、A6N01(ロクエヌマルイチ)などがあります。 - A7×××はアルミニウム合金のなかで最も高い強度をA7075と Zn-Mg-Cu 系と Cu を含まない A7N01 が代表的。
熱処理が難しくこれが適切でないと応力腐食割れ(注3)を生ずる危険があるので注意を要します。航空機、鉄道車輌など。
(注3)応力腐食割れとは
圧延や曲げなど、アルミに限らず金属に加工を加えると材料の内部に力がかかったままの状態が残り、これを残留応力と呼びます。
合金の種類によっては在留応力があると内部の結晶の境目から腐食が広がって破壊してしまう場合があります。
これらの合金は応力を加えた後応力を除去するための熱処理を行う必要があります。
銅合金
- C1××× Cu・高Cu系 無酸素銅、タフピッチ銅が代表。銅の比率が高い銅合金
- C2××× Cu-Zn系 黄銅 銅と亜鉛を配合した合金
- C3××× Cu-Zn-Pb系 黄銅 Pbが添加され加工性良好
- C4××× Cu-Zn-Sn系 ネーバル黄銅 耐海水性に優れる
- C5××× Cu-Sn-(P)系 リン青銅 電気伝導率が高く、強度やバネ性も高い
- C6××× Cu-Al系 Cu-Si系 特殊Cu-Zn系 アルミニウム青銅や高力黄銅など
- C7××× Cu-Ni-(Zn)系 白銅や洋白 銀白色で500円などの硬貨に使用されている
ステンレス
- SUS200番台 Cr・Ni・Mn系
オーステナイト系ステンレス鋼 - SUS300番台 Cr・Ni系
オーステナイト系ステンレス鋼 - SUS400番台 Cr系
フェライト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼 - SUS600番台 析出硬化系ステンレス鋼 高強度高硬度の合金